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■「個性的なクリップのペン」
 パーカー ベクターXL
 2,100円





子供の頃、夜光塗料のついたおもちゃを持って押入れの中でよく遊んだものだ。暗闇の中で、ほんわりと緑色に光るのがとても面白かった。

先日、行きつけのステイショナリーショップでその夜光塗料のようなカラーをしたペンが目に入ってきた。

それが、今回ご紹介するパーカーのベクターXLだ。

あまりに懐かしかったので、その淡いみどり色に誘われ、店内ではあったが、両手で包み込むように暗がりを作ってみた。

子供の頃よく見たほんわりと浮かぶ、あのみどり色を期待していたのだが、いっこうに光を放つことはなかった。

蓄光(ちくこう)が足りないのだなと勝手に思い込んでお店の照明器具の近くまで、そのペンを近づけて再び試してみたが、残念ながら光ることはなかった。

冷静さを取り戻して、店頭にあった説明書を確認してみたが、夜光塗料との表記は見当たらなかった。

その代わりに、「アイス」というカラー表記があった。アイス、つまり氷ということだ。どう見ても氷ではなく、夜光塗料にしか見えないのだが・・・・

きっと、私と同じようにこのペンを目にして、店頭で光るかどうかを確かめたお客さんはかなりの数いたに違いない。

暗闇で光ることのない、夜光塗料っぽいそのペンのことがとても気になり、1本購入することにした。(実は、家の押入れでもう一度じっくり確かめたかったという理由もあった。。。)


パーカーと言えば、矢羽根のクリップがトレードマークになっている。
 
クリップの先が矢印のように尖がっていて、根元に羽根があしらわれているというものだ。





だが、このベクターXLは矢印はあるものの、羽根の部分がなくなっている。

このクリップをさらに特徴づけているのが、クリップの面が尖っていることだ。その尖がりはペンのトップ部分までつながっており、これまでのパーカーらしさを残しつつ、モダンな雰囲気を漂わせている。

斜めからそのクリップを眺めてみると、中世ヨーロッパの騎士のかぶとのようにも見えてくる。


例の夜光塗料だと思っていたその淡いみどりのボディは樹脂製。

ペンと言えば、黒や金、銀が多く、たまにカラフルなものでも赤や青、黄色くらいなものだろう。

そんな中、このアイスという色はずば抜けて個性的だ。


ペン先を出すには、ペン先のステンレス部分をツイストすれば油性ボールペンがでてくる。

胴軸の真ん中ではなく、ペン先を回すという方式なので、両手を使わないとダメかと思っていたが、使っているうちに、片手でもペンを出し入れできるようになった。

といっても、特別なやり方をするのではなく、 通常のツイスト式ペンのように握ってまわすだけ。

ただ、この時に注意すべきは、握りしめた小指にほんのちょっとだけ力をいれる。あとは、親指と人差し指を使ってクリップを手がかりにくるりと回せばいい。





そのねじり味は、ちょっと粘り気があるような、まったりとした重みがあり、最後には、指先だけがほのかに感じ取れる無音のクリック感がある。

そのねじるステンレス製パーツは書くときのグリップ部分も兼ねている。そのためだろう表面には滑り止めにもなるヘアーライン加工が施されている。ちなに、ペントップとクリップの方はヘアライン加工はなく、キラキラとした加工となっている。





このベクターXLには、先ほどご紹介したように油性ボールペンが標準装備されている。実は、最近ボディがスケルトンタイプも発売されており、そちらには、ゲルインクのリフィルがあらかじめ入っている。

せっかくだから、ゲルインクで書きたい、でも、どうしても、あの夜光塗料風のボディがいい。そこで、わざわざ夜光塗料風のアイスとは別にゲルインクのリフィルも購入して使うことにした。





ゲルインクのリフィル単体で840円と、通常のゲルインクペン約8本分の値段ではあったが、清水の舞台ならぬ踏み台から飛び降りるつもりで思い切って購入した。

ゲルインクの書き味は、というと、さすが、滑らかなものがあった。筆圧もかけずともサラサラと心地よい書き味を味わえる。XLは樹脂製ボディのわりに意外と重いのだが、その重さだけでも楽々と書けてしまう。

ゲルインクのリフィルには0.7mmと表記されていたが、日本で言うところの0.7mmよりも明らかに太めのような気がした。

以前に、スタイルの良いペンでゲルインクを楽しみたくて自分なりにゲルインクペンのリフィルを切ったりしてカスタマイズしてきたが、こういうリフィルがあればとても助かるというものだ。私の持っているノック式や、ツイスト式の他のペンにもあわせることもできた。


ずっと気になっていた、夜光塗料の真相。最後のかすかな望みを抱きつつ、これでもかと十分に蓄光してやり、真っ暗な家の押入れに入ってみた。

結局、光ることはなかった。

一人、真っ暗な押入れの中にたたずみながら、そもそもペンが光る必然性はないなと、ようやくその時気づいたのであった。





(2005年5月10日作成)

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