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■「サインするときに使いたいペン」
 モンブラン マイスターシュテュック164 

以前、バーニーズニューヨーク(洋服屋さん)でスーツを買いに行ったときのこと。

購入するスーツも決まり、いざ支払いという段になりクレジットカードを差し出した。

「サインをお願いします。」と店員さんが胸ポケットから1本のボールペンを颯爽と出した。





黒塗りのモンブランのボールペンだった。

それを受け取り、サインをした。言うまでもなく、とても気分のいいものだった。

決して安くない買い物をして、クレジットカードのサインをするときに、100円のボールペンでは、あまりにも悲しすぎる。

ペン1本でこんなにも気分がよくなるものだとつくづく感じてしまった。


さて、今回は私も10年以上使い続けているモンブラン マイスターシュテュック164 ボールペンです。

モンブランと言えば、万年筆を思い浮べるとことろだが、ボールペンもいいものを作っている。

この164は、今は残念ながらカタログには掲載されていないが、広く愛用されてきた定番モデルだ。

巷で見かけるのは先程のバーニーズの店員さんと同じ黒塗りタイプだが、人と同じものを持ちたくないへそ曲がりな私はあえてバーガンディを選んだ。いわゆるえんじ色。

おそらく女性向けに用意された色であろうが、男性が持っても結構さまになると個人的には思っている。





一見すると、何の変哲もないペンに見えてしまうが、さすがモンブラン。細部に神が宿っているようだ。

胴軸に使われているのは硬化樹脂。プラスチックというと、どうしても、高級感が出にくいところだが、いい材質をつかっているのだろう。まるで、漆塗りのような上品な佇まいをしている。10年以上愛用している私のペンの艶は今も健在だ。

手にしてみると、さらに感じるのが何の変哲のないと思われたスタイリングが実に計算しつくされた太さになっていることだ。上質の樹脂とあいまって、程よく手にまとわりつき、握り味は上々。


ペン先は、胴軸をねじると繰り出されてくる。





この方式は特に珍しいものでもないが、そのねじり味とでも言おうか、他のペンと違って独特な感触がある。

ねじりはじめには、適度な重みがあり最終的にペン先が繰り出されると、かすかなクリック感とともにストッパーが効く。

その一連の動きには一切の音もしない。その代わりに、心地よいねじり味の感触が手に伝わってくる。

それが、あまりにも気持ちよいので、ペンを握っていると、ついつい何度もねじってしまう。





肝心の書き心地は、専用のリフィルが大変よくできている。特に太字のMを使うとその書き味には一瞬驚かされる。

ボールペン特有のサラサラではなく、ヌメヌメと滑らかな書き心地がある。


私のペンの愉しみ方として、ペンとシャツの組み合わせがある。
 
シャツの胸ポケットにさしてみると、シンプルなクリップとモンブランのトレードマークであるホワイトスターが奥ゆかしく顔を出す。

出しゃばりすぎない、程よい主張だ。





サインと言うものは、自分の分身である。

ショッピングの時のクレジットカードのサインでは確かに私が買いました。という証明にもなる。

こういう大切な契約という1つのセレモニーには気分を盛り上げてくれるいいペンを使いたいものだ。

これからは、店員さんから差し出されたペンを丁重にお断りして自分の胸元からお気に入りのペンを出してサインをしてみようかと思っている。


(2004年11月23日)


□ モンブラン その他の評論

■「勝負万年筆」 モンブラン マイスターシュテュック 146

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