
■ 「スケッチブックをノートとして使う その2」
月光荘 スケッチブック ウス点 2F 395円
私は1冊のノートを使い終わると、次に使うのは違う種類のノートであることが多い。
あえてそうしているという訳ではなく、自然とそうなってしまったというのが本当のところ。
というのも、私は気になるノートがあったら手当たり次第に買っている。
ペンの場合はそういうことはなく、かなり吟味をして買っている。
ペンを買うときは、このペンを私は責任を持って日々生活の中でしっかり使う覚悟はあるのかと、自分に徹底的に問い詰めている。
たとえば、これは出張の時のペンとして使いますと、その問い詰めに明確に答えられれば、晴れて稟議がおりて買うことができる。
と言っても許可するのも買うのも、私なんですけどもね。
いずれにしても、ペンの場合は、買う位置づけというものを結構きっちりと考えている。
一方、ノートの時はどうかというと私のお気に入りのA5サイズで紙質、そして、ノートの顔である表紙がいいと、比較的気軽に買っている。
というのも、一冊のノートは、つきあう物理的時間はペンと比べれば短い。
実際、私は一冊のノートをだいたい一ヶ月くらいで使い切ってしまう。その補充の意味もあるので、ついつい気になるノートがあると買い込んでしまう。
ただ買ったからには、そのノート達も責任を持って使っていく。
そうして、現在出番を待っているノートたちは、20冊から30冊くらいにもふくれあがっている。
それを基本的には買った順に一冊ずつ使っている。
という訳で、
毎回違うノートになってしまう。
そんな中で、
先日、ニ冊同じノートを使ってしまった。
しかも、
買った順に使うというルールを破り、横はいりをしてしまった。
このノートには順番を乱してまでも続けて使いたいと思わせるものがあった。
それがこの月光荘スケッチブック ウス点 2F だ。
以前にもスケッチブックやクロッキー帳をノート代わりに使うと、意外と便利だと紹介したが、今回新たな良さを知ってしまった。
月光荘 スケッチブック ウス点 2F は、サイズとしては横長サイズ。
長い方の長さは B 5サイズの縦、短い方は A 5サイズの縦とほぼ同じくらい。
B 5と A5を足して、2で割ったようなサイズだ。
そして、中の紙は普通のノートよりも、かなり薄い。
その紙面には、ブルーの薄い点が1cm 四方で敷き詰められている。
本「文具の流儀」の取材で初めて知ったのだが、実はこのウス点というスケッチブックは、パナソニックの創業者である松下幸之助氏の依頼で生まれたものだという。
松下氏は、月光荘の常連さんで、ある時、図面や文字の両方が書きやすいものが欲しいとリクエストをしたという。
松下氏いわく
横罫線があると、文字を書くのには良いが、図面を描くときにはその線に縛られて、自由な発想が出来ないと言っていたそうだ。
そこで
月光荘で考えだしたのが、この1cm 四方の薄いドット。
紙を薄くしたのはトレーシングペーパーのように図面の上に重ねても透けて見えるようにするためだ。
当時(今もそうだか)とレーシングペーパーは、結構高価な紙なので、この点も喜ばれたという。
このような経緯で、このウス点というスケッチブックは生まれた。
このウス点を普段使いのノートに使ってみたところ、松下氏がいう、罫線に縛られずに書けるという心地良さを私もしみじみと感じてしまった。
罫線だとついついその間に文字を書こうとしてしまう。
しかも、
律儀に一番上から順番に書いてしまう。
何かをキレイにまとめる学校の勉強のような時にはいいが、発想をふくらませようという時には、確かに邪魔な気がする。
それがこのウス点だと自由になれるのだ。
罫線が点になっただけで自由になったと言うと、なんとも大げさな気もするが、これが本当なのだ。
人というものは、目に入ってくるものに意外と大きな影響を受けている。
自分ではそれほど意識していないつもりでも知らず知らずのうちに、罫線というあの細い線に自分自身が縛られていたということに改めて気づかされた。
罫線がなくなったとたん一番上から書くことをやめ、真ん中あたりから書きはじめたりと、何かから解き放たれて自由に書けるようになった。
この薄いドットというのが何とも絶妙。
もし全くの無地で「さぁ、どこからでも自由に書いてみなさい」と言われてしまうと、それはそれでちょっと躊躇してしまう。
罫線に慣れている私にとって程よいガイド、そしてほどよい自由さも与えてくれるという点でこの薄いドットがちょうどよい存在である。
自由に書くと言ってもいつでも自由奔放でいる訳にもいかない。
時には、しっかりとまとめるということもある。
薄いドットは、キッチリ書くのにもしっかりと対応してくれる。
ただ当初は、この横長サイズにキッチリと書くのにとまどってしまった。
以前からの慣れでついつい左端から右端まで書いていた。
これだとそもそも一行が長すぎて、書くのも大変だし、後で読み返した時にとっても読みにくい。
取材をする時などは、まるで速記者のように一気呵成に書いていく。
こういうときに一行が長いと、とてもやりづらい。
そこで、横長の罫線の真ん中に縦線を引いて半分ずつ使ってみた。
こうすると、一転して書きやすく、しかも読みやすくなる。
文字を書くときは、このように半分にして、アイデアを膨らませたり、ちょっとした図を描く時は、1ページ全面をおおらかにそのまま使っている。
先程も触れたが、そもそもこの紙はとても薄く、そのため片面しか筆記することが出来ない。
これまでの人生でノートは両面に書いてきた私としては、これはややもったいないという気がしてならなかった。
しかしながら、この薄い紙は両面書いてしまうと、裏の文字が透けて実用的ではない。
ここは片面筆記しかできないと、潔くあきらめざるを得ない。
一方で
今では、この片面筆記がすごくいいと思うようになってしまった。
それは
リングノートの弱点をうまい具合に克服してくれるからだ。
リングノートというものは、ノートを開いた時に中央にリングの出っぱりができてしまう。
特に左側のページを書くときには、ペンを持った手がリングにどうしても当たってしまう。
リングノートは紙面がフラットになって書ける点は、とても好きなのだが、ただ一点だけ、このリングが手にあたるという点がどうしても気になってしょうがなかった。
しかし、しかしである。
片面筆記、
しかも右ページだけを書き続けていく上ではリングは全く手に当たらない。
これは書いていてとても心地よいものがある。