■「スリムになったキャプレス」
パイロット キャップレス デシモ
15,750円
昨年の年末、本を出版させていただいた時に、妻がお祝いに好きな万年筆を1本プレゼントしてくれるということになった。
これは、めったにないチャンスだぞ、と思い、いつも以上に頭をフル回転させて、どの万年筆にしようかとあれこれと想いをめぐらせた。
そして、最終的に絞ったのが、ラミー2000とキャップレスのデシモ。この2本のどちらにしようかと想い悩むよりも、あとは実際に手にして決めればいい、と思い、善は急げとばかりに、その日のうちに横浜ロフトに家族揃って出かけることにした。
普段、万年筆売り場を見るときは、
「今日は特に買う予定がない」という引け目からかどこか遠慮がちになってしまい、店員さんとは、できるだけ目を合わせないようにそそくさと見ていた。
でも、その日は違った。
「今日は、万年筆を1本買う。」
なんと素敵な響きの言葉だろう。。。
いつもよりもこころなしか堂々とした立ち振る舞いで万年筆売り場をじっくりと、そして、店員さんにこちらから笑みなどを送りながら見ていたのであった。
「さぁ、例の2本を見せてもらおうか」と、心の中で紳士風に呟きながらちょっと腰をかがめてショーケースを見てみると、キャップレス デシモは並んでいたのだが、ラミー2000の姿がどこにも見当たらない。
あわてふためいて、店員さんに聞けば在庫が切れて取り寄せになるという。
なんということか。。。
ラミー2000を取り寄せてもらい、改めて2本を吟味しながら決めるということもできたのだが、すでに、私は、すっかり「万年筆を買う」モードに突入していたので、もうあとには引き返せない。
ということで、キャップレス デシモを買うことにした。
大変、前置きが長くなってしまったが
今回はキャップレス デシモをご紹介。
キャップレスは、キャップのない万年筆として1963年の発売以来、世界でも人気を博しているペンだ。
「デシモ」はスペンイン語で10番目という意味。
今回のデシモは発売から数々のモデルチェンジを重ね、まさに10番目となる。
シリーズ最新作となる今回の最大の特徴は、ボディがスリムになり、軽量化されたこと。一つ前のモデルより太さにして約1mm、重さも9gも軽くなりコンパクト化に成功している。
【上がデシモ、 下がひとつ前のモデル】
コンパクトになったということで、単なる外観の変更と思う方もいるかも知れないが、これが違うのだ。
ペンの先端の中には、シャッターと呼ばれるフタがあり、これが、ノックするたび開閉している。
この複雑な機構をよりスリムになった中で実現させるというのは並大抵なものではない。
外観だけでなく、外から見えない内部の機構にもしっかりと手が加わっているのだ。
長めのノックボタンをグイーッと重みを感じながら押し込むと、カチッとメカニカルな音をたてながら、万年筆のペン先が遠慮がちにちょこんと出てくる。
このノックの押しごこちがなんとも気持ちいい。手の感触と耳で愉しむことができる。特にペン先を引っ込めるときのノック音がたまらない。「シュポッ」というボールペンではちょっと味わえないいい音がする。これは、きっとペン先内部で繰り広げられているシャッターが閉じる音なのだと思う。
この音からも、そのシャッターの機密性の高さが伺い知れる。
ちょこんとしか出ていないペン先の書き味は、前回のセーラープロフェッショナルギアに比べて紙にペン先をあてたときのタッチに多少の硬さはあるものの、ペン先のしなやかさは気持ちよく味わえる。
ペン先が少ししか出ていないのに、このしなやかさは、一体どうしてだろうと思ってしまうほど。 実は、外から見えていないのだが、ボディの内部にはペン先が隠れているのだ。
ボディを分解してみると、
万年筆のペン先らしからぬ、スラッと細いペン先が現れる。
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