
■「ありそうでなかった組み合わせ」
トンボ鉛筆 黒赤鉛筆 木物語
2本セット 168円(税込)
仕事で会議に臨む時、私は黒のペンの他に必ず赤ペンを持っていく。ノートへのメモは黒で書くが、配布資料などに記入する時は、やはり、色が付いていたほうがわかりやすい。
今回は、トンボ鉛筆社がこのたび新製品として世に送り出した「黒赤鉛筆」を紹介します。
1本の鉛筆の片側が黒で、反対側が赤といういたってシンプルなもの。
青と赤という組み合わせはいろいろあったが、黒と赤はありそうでなかったんです。
なぜ、青と赤だけで、黒と赤がなかったかいろいろ考えてみたところ・・・
私はここで、1つの推測を立ててみた。
「それは鉛筆の芯の太さが鍵をにぎっているのではないか」ということです。
芯の太さをみた時、黒のHBより色鉛筆の方が太い。そもそも、黒のHBと色鉛筆では芯の太さが違うわけです。
なので、芯の太さの同じ色鉛筆同志の組み合わせである青と赤しか今までなかったのではないか。HBと色鉛筆というそもそも違う太さの芯を1本の軸におさめることが難しかったのではないか
故に、HB黒と赤の組み合わせがこれまでなかったという仮説です。
実際に今回の黒赤鉛筆を見てみよう。
黒のHBの芯は通常のものより、幾分太い。6B・7Bなど濃い芯ほど太いわけだか、HBにしては明らかに太い。
今までなかった黒赤鉛筆の誕生は、単に黒と赤の鉛筆をくっつけただけではなく
色鉛筆の太さと同じHBの芯の開発に成功したことが 基本となっている。
というのが、私の考えた推測だ。

仮説を立てたはいいが、そう考えると、夜も眠れない日々が続き、とうとう我慢できず、事の真相を確認すべく、トンボ鉛筆社に確認をしてみた。
その結果、私の予想はほぼあたっていた。(なんだかとてもうれしかった。)
トンボ鉛筆社の商品企画担当者の方によると
やはりHBの芯をあえて太くしたとのことでした。
「色鉛筆とHBは作り方が違い、焼かない色鉛筆はどうしても、HB等の鉛筆に比べて強度がでないため、細くすると筆記時に折れる可能性が高くなるので、HBを太くするという手法をとった」とのこと。
また、やはり、これまでなかった太めのHB芯の製造においては、かなり苦労されたようで、
「HBといった粘土の量が多いものをただ太くしてしまうと、焼き上げる時に芯の収縮が大きくなって、ひびが入ることとなるので、生産現場では、かなりの工夫をされている」とのこと。
ただ、黒赤鉛筆の誕生については、確かに上記のように太めのHB芯の新開発などもあったが、昔とちがい鉛筆がメモやチェックの少量筆記ににしか使わなくなった今だからこそ、 2本を持たずに済む黒と赤の組み合わせのツイン鉛筆が活きてくるといった時代の流れもあるのとのことでした。
鉛筆ファンとしてはちょっと残念な話だ。
黒赤鉛筆の他の特徴としては、黒と赤の芯の長さが違うことだ。これは、無駄なく使えるよう黒と赤の使用頻度から割り出されている。
あまり使わない赤鉛筆が全体の3割の長さとなっている。
無駄がないといえば、木軸は天然木を有効利用した集成材を、HBの黒芯には工場の副産物であるリサイクル黒鉛が採用され、環境にも配慮されている。
使用する時は、当然両端の鉛筆を削って使う。両端の鉛筆を削ってしまうとなんだかさまにならないが、その配慮として、スケルトンのキャップが付属している。
キャップをつければ多少違和感はなくなる。
鉛筆という成熟している商品に新たな開発の手を加え、新商品として世に送り出した老舗鉛筆会社の取り組みは賞賛に値すると思う。
(*黒と赤の2色鉛筆は30年ほど前に他社から販売されていたそうです。ですので、厳密に言えば30年ぶりの復刻となります。私は価値ある復刻だと思います。)
(2004年4月6日作成)
□ これまでご紹介した鉛筆関連の評論
■「鉛筆を最後まで慈しむ道具」 鉛筆補助軸いろいろ
■「老舗文具屋さんのシンプル鉛筆」 伊東屋 イートンペンシル
■「大人の鉛筆削り」 DUX社 鉛筆削り
■「ちょっと変わった2刀流 鉛筆削り」 KUM社 ロングポイント鉛筆削り
■「サバイバルから鉛筆削りまで 」 ウェンガー ソルジャー
■「やっぱり鉛筆。」 ファーバーカステル UFOパーフェクトペンシル
■「三角形軸の鉛筆」 ファーバーカステル GRIP 2001、ステッドラー Mars エルゴソフト
■「レトロなエンピツ」 三菱鉛筆 局用鉛筆
■「鉛筆を愉しもう」
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