
■「薄くてもしっかりとした書き味」
TS エアメール 便せん 262円
これまで万年筆にあう紙は、厚いものがいいと、そう勝手に思いこんでいたフシがあった。
厚いということで、なんとなくインクをガッチリと受け止めるといった印象があったから。
確かに、そうした厚い紙は、実際、万年筆にあうものも多い。
しかし、この「 厚い = 万年筆にいい 」という私の思いこみをものの見事にひっくり返してくれた紙があった。
それが、TS(テーエスと読む)のエアメール便せんだ。
そもそも、このエアメールは、そのネーミングおよび表紙のトリコロールデザインからもわかるように海外へ送る手紙用の便せん。
おそらく、郵便料金を少しでも安くするために徹底した軽量化が計られたのだろう。
束ねられた状態だと気づきにくいのだが、一枚をヒラリとつまみ上げると、向こう側の気配が十分に見通せてしまうほどの透け具合、そして薄さだ。
こうした半透明の紙というと、トレーシングペーパーがあるが、これは、それとは全く違う質感を持っている。
どちらかというと、和紙のような、ややフサフサとした柔らかな風合いがある。
一見および一触り(ひとさわり)すると、こんなにも頼りなげなのだが、ペンと対すると、その底力というものをまざまざと見せつけられることになる。
特に感心してしまったのは、万年筆での書き心地。
ちょっとひ弱な紙ならば逃げ出してしまいそうな太字系で、インクの出もよい万年筆を取り出してで書いてみてもびくともしない、というか、全くへっちゃらで、しっかりとインクを受け止める。
薄氷を踏むような、という表現があるが、これは薄紙ではあるものの、そんな気遣いは無用。ドシドシと遠慮なく書いても大丈夫。
表面の質感からして、ざらつきのある書き味を想像していたが、予想以上にペンがスムーズに進む。
しかも、にじみはほとんど見られない。
インクの吸収もなかなか素早い。
インクを吸収するからには、それ相応の例えば、人間で言えば胃袋のような、紙でいえば厚みが必要なものだが、これはご覧のとおりの薄さである。
一体どこにインクを吸い取られてしまったのだろう。
怪訝に思いつつ、きっとここだろうと、私は紙を裏返してみた。