
■ 「 メカニカルな手帳 」 X47 (ドイツ)
□先般のペーパーワールドレポートでご紹介した「X17」という手帳。
 これはノートの背にゴムバンドがついていて、
 それをカバーに引っかけてバインディングするというユニークなものだ。
  
  
 そもそもこの商品は、
 システム手帳など、リングを使ったバインディングシステムに
 以前から不満を感じていた人たちによって作られた。
 リングがあることで、分厚くなってしまい、
 にも関わらずリングの閉じ穴の分だけ筆記スペースが少なくなってしまう。
 さらには、書くときにもそのリングが手にあたって邪魔になる
 というのが、彼らの主張だ。
  
 ならば、リングに頼らない画期的なバインディングシステムを
 自分たちで作ってしまえとばかりに
 ゴムバンド式のX17を作り出したといういきさつがある。
 彼らのリングバインダーへの不満はとどまるところを知らないようで、
 さらにハイエンドタイプまで用意されていた。
  
 それが、「X47」というものだ。
 このバンディングシステム、ちょっと驚きである。
□外観は、ハイクラスらしく高級感のある牛革のカバーになっている。
  
 ソフトなタッチと程よいコシを併せ持つ上質感がある。
 私が今回サンプルとして頂いたものはA6サイズ。
 このほか、A5、A7もある。
 横から見ると、リングがないので、当然スリムになっている。
  
 表紙を開けると、これまで見たことのない光景を目の当たりにすることになる。
 なんと、ノートが細い鉄のバーで綴じ込まれているのだ。
  
 そのパーツ、どこかで見たことがあるような・・・。
  
  
 そう、これは腕時計のバンドをとめるパーツだ。
 「スプリングバー バインディングシステム」と呼ばれるそのパーツは、
 本場スイスで高級時計ブランドでも採用されているメーカーによるものだと言う。
 時計のバンドを一度でも自分で交換したことのある方なら
 おわかりだと思うが、これが結構大変。
 「ネジ棒はずし」という専用工具で慎重に行わなければならない。
 しかし、これはそうした工具は不要。
 ノートを持って、ちょっとだけ上にスライドして上げれば、
 簡単にはずすことができる。
  
  
□はずしたノートには、背の部分に筒状のパーツが付きっぱなしになっている。
  
 指でパーツを引っ張って剥がれないかやってみたが、がっちりと固定されていた。
 これは一体どうやって作っているのかと
 社長とおぼしき方に尋ねてみると、
 企業秘密とのことで教えてもらえなかった。
 綴じ込み部分を見てみると、
 ノートを綴じているのとは別に上下に先ほどのバーを固定していると
 思われる綴じパーツがあった。
  
  
 どうやら、これでとめているようだ。
□気になるのは、このバンディングシステム、
 使っている中で、ノートが外れてしまうことはないのかということ。
 そこのところを聞いてみると、、
 「カモーン、このバインディングパーツはスイス製だゼ!」と
 自信たっぷりの返事が返ってきた。
 確かに、時計のバンドが外れてしまったという話は
 聞いたことがない。
 ノートをバインドする時は、
 先ほどの逆の要領でノートの背の筒をまず上側に差し込み
 そのまま上にスライドさせて、下側をセットしてあげればいい。
 この時気づいたのだが、
 このスライドする長さが時計のとめ具よりもたっぷりとってあるようだ。
 実際、ちょっと乱暴に扱ってみても、はずれることはなかたった。
  
 一冊のカバーに綴じこめるノートは最大で3冊まで。
 綴じるためのパーツはノートの背にあるので、
 カバーにセットした状態でノートを広げても、
 紙面が綴じ具で邪魔されることはない。
 複数冊のノートがバンディングでき、しかもこうして紙面をたっぷり
 使えることこそ、このX47の最大のセールスポイントである。
□ノートの種類は「X17」と同じように
 無地、横罫、方眼、五線譜などたくさん揃っている。
 中でも方眼は、2.5mm角というユニークなスタイル。
  
 ユニークと言えば、
 スケジュール帳にも興味深いものがあった。
 それは、デイリータイプというか、厳密に言えばハーフデイリーと呼ぶべきものだ。
 一般的な時間軸ではなく、時計のような丸いスタイルになっている。
  
 一周12時間なので、1ページで半日分の予定が書き込める。
 はじめは取っつきにくいかも知れないが、
 長年見続けている時計スタイルなので、すぐに慣れるだろう。
 これがいいのは、
 特に、自分が一日何をやるのか、あるいはやってきたのかという
 時間配分を視覚的に理解することが出来ることだ。
 ぜひ一度使ってみたい。
□複数のノートが納められるということで、
 カバーの側にはしおりが2本付いている。
  
 また、カバーにある面白い工夫があった。
 それは、ペンホルダーの位置。
  
 システム手帳などでは、カバーを開いた右や左など
 両サイドに付いているものだ。
 しかし、今回のものは、そうした所ではなく、
 カバーを開いた右上にペンを横にさせるようなスタイルになっている。
  
 せっかくリングを使わず快適な筆記ができるようになったのに、
 この期に及んでペンホルダーに邪魔されてなるものか、と言うことなのだろう。
  
□時計バンドのスプリングバーを使うというメカニカル感あふれる
 バンディングシステム。
 リフィル側にバーがあるので、リフィルのコストが高いということはある
 かもしれないが、これは面白いシステムだと思う。
 なお、日本での代理店はまだない。
(2008年3月18日作成)
 ■ X47 オフィシャルサイト (ドイツ語、フランス語、中国語)
< 関連リンク > 
 ■ 「今年も収穫いっぱい ペーパーワールド2008 レポート」
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